J.S.A.ソムリエ試験の3次試験を受験される方に向けて
3次試験の「サービス実技試験」の内容と対策をお伝えします。
3次試験の合格率は毎年90%以上です。
しっかり対策して臨めば間違いなく合格できます。
とはいえ、初めての試験会場で、試験官に見られながらのサービスはとても緊張します。
J.S.A.の試験案内のみだと具体的なイメージが掴みにくく不安だと思います。
本番のイメージを掴み、しっかりと準備をして3次試験に臨みましょう。
今年の3次試験の日程は2023年11月27日(月)です。
2次試験の結果が出るまでは、なかなか3次試験に気持ちが向かないものです。
(私もそうでした。)
2次試験合格発表後から対策を始めても十分に間に合います。
試験内容を把握して、しっかり対策しましょう。
試験会場のレイアウト・試験当日の流れ
試験会場のレイアウト
受験者はテーブルの前(トレイが置かれた位置に)立つよう指示されます。
2022年から、受験者は「このトレイの中で作業すること」になりました。
道具がトレイからはみ出ると減点になるので注意しましょう。
試験当日の流れ
受験者は試験官に誘導され、広い宴会場のような試験会場へと向かいます。
館内アナウンスが流れ、試験の開始が伝えられます。
概要は以下のとおりです。
- お客様からシャトータサン2021(近年は若いビンテージしか出ない傾向)をボトルオーダーされたという想定
- 受験者は「ボトルプレゼンテーション」▶「抜栓」▶「デキャンタージュ」▶「ワインサービス」を行う
- 全ての工程が終了したら、試験官に「終了しました。」と伝える
- 制限時間は7分間
採点基準・作業手順
採点基準
詳しくは公開されていませんが、ポイントがいくつかあると言われています。
- 制限時間を守っていること
- 他の受験者への配慮(割込や妨害、利己的な振る舞いは減点)
- 清潔感ある身だしなみ、笑顔、声量
- 作業手順にヌケモレが無いこと
作業手順
※場内に試験の内容がアナウンスされます。
「それでは、初めてください。」というアナウンスと共に一斉に試験スタートとなります。
- 作業開始時の挨拶
「かしこまりました。2021年のシャトータサンでございますね、ただいまご用意いたします。」
※例年この”シャトータサン”の若いビンテージが使用されています。最近の傾向として、把握しておきましょう。 - ボトルプレゼンテーション
オーダーされたボトルを取りに行く。
パニエにそっと移し(大げさなくらい丁寧に扱う)、自分のテーブルまで持っていく。
「2021年のシャトータサンでございます。」 - デキャンタージュの許可を取る
「こちらのワインをデキャンタージュさせて頂いてもよいでしょうか。」
「ありがとうございます、少々お待ち下さい」 - 道具のピックアップ
道具をトレンチに乗せてテーブルまで運ぶ
<道具>
“懐中電灯※この時点で点灯するかどうか必ず確認をする“
“小皿×2枚(ボトル用とデキャンタ用)”
“グラス×2脚(ゲスト用と自分用)※グラスに汚れがついていないか、目線よりも高い位置で光に当てて確認する(おおげさに)“
“紙ナプキン×2枚”
“デキャンタ(※必ず汚れが無いか確認する。トレンチに乗せると不安定になる場合はトレンチと逆の手で直接持って運ぶ。)”
作業しやすいように配置する。
トレンチを片付ける。 - 抜栓
パニエごとボトルを抑えて、ボトルが回らないように注意しながら、キャップシールを切り取る。
キャップシールはポケットにしまい、紙ナプキンでボトルの注ぎ口を拭く。
コルクを抜く。※ワインがこぼれないようにゆっくりと引き抜く。
コルクの香りを確認し、「コルクは健全な状態です。」と伝える。
ボトル用小皿の上にコルクを乗せる。
再度、紙ナプキンで注ぎ口を拭く。 - 味見の許可を取る
「少し、味の確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか」
少量、自分のグラスにワインを注ぐ。(パニエごと傾けて注ぐ)
外観・香りを確認し、口に入れ、飲み込む。
「ワインは素晴らしい状態です。」と伝える。 - デキャンタージュ
懐中電灯を点け、上向きに置く。(自分の目線→ワインボトルの肩→懐中電灯の光が直線上に並ぶ位置に置く。)
パニエからワインボトルを引き抜く。※角度を変えずに、大げさなくらい丁寧にあつかう。
ゆっくりとデキャンタにワインを注ぐ。※こぼさないように注意。
全て注ぎきらず、少量ボトルに残す。
※少量とは、ボトルを縦に置いたときに、底に1cm程度残すイメージ。
ボトルはコルクを置いた小皿の上に乗せる。
デキャンタも小皿の上に乗せる。
懐中電灯の電源を切り、リトー(持参したもの)を用意する。 - ホストテイスティング
「お味の確認をお願いします。」と言い、ゲスト用のグラスに、デキャンタのワインを少量注ぐ。
※利き手でデキャンタを持ってワインを注ぎ、利き手と反対の手にはリトーを持つ。
注ぎ終わったら、ワインがこぼれないようリトーでそっとフォローしながら自分の手元まで持ってくる。
3秒ほど待つ。(テイスティングしている”てい”で3秒ほど待つ。) - ワインサービス
再度、グラスに適量(グラスの膨らみくらいまで)注ぐ。
デキャンタを小皿の上に乗せる。
「ごゆっくりどうぞ」と挨拶をする。 - 片付け
トレンチをピックアップする
パニエ、懐中電灯、自分のグラスをトレンチに乗せる。
「コルクはおさげしてもよいですか」と確認の上、コルクを下げる。 - 終了の挨拶
「終了しました。」と試験官に伝える。
練習方法・練習用の道具
練習方法
作業手順の反復練習が全てです。
上記の作業手順を試験当日は「7分間」以内に完了させる必要があります。
練習時は「6分間」で完結できるように反復練習しましょう。
時間を測りながら練習することで、安定的に時間内に終えられるようになります。
※手順にヌケモレがあると減点対象になるので、1回練習する毎に、「手順にヌケモレが無かったか」振り返りましょう。
1日に1〜5回程度の練習を3週間ほど繰り返せば、動きが身体に染み付いた状態で本番当日を迎えられます。
練習用の道具
・トレイ(Cambro ノンスリップトレー長角。外寸380×515、内寸345×475)
・パニエ(ワインバスケット)
・リトー(自分用のナフキン)
・デキャンタ
・小皿(100均で買うのもあり)
・抜栓練習キット(キャップシール、コルク、コルクを押し込むやつ)
・制服
練習用の道具(おまけ)
・ライト(練習時は消しゴムで代用可能)
・自撮り棒
不安になるポイントについて解説します
結論:必要なし!
「オリがありますので〜」「若いワインで空気に触れさせるため〜」みたいな説明はこの試験では一切不要!必要なし。
「デキャンタージュさせて頂いてよろしいでしょうか。
これ以外きく必要はありません。
※レストランサービスとしては状況に応じた説明が必要でしょうが、あくまで試験対策にフォーカスすると
これは言う必要が無いと割り切ったほうが無難です。
結論:練習通り進めてしまうことを私はすすめます!
これは2022年受験時の私の実体験をもとにお伝えしますが、
試験官は抜栓されたコルクの香り、ワインの味わいは確認していませんでした。
そして自分で抜栓したワインはそのまま持って帰るように指示されました。
つまり、結論を言ってしまうと
試験官のチェック工程の中に「コルクとワインの味わいの品質確認」は含まれていないと推測されます。
したがって、どんなワインであろうと文言丸暗記でやり切ってしまって不合格になることは無いと思われます。
※本当に無責任なこと言って申し訳ありません、
ソムリエとしてのあるべき姿では無いのですが、
言うまでもなく、初めての会場で、初めて触るワインの品質を正しく知覚することはかなり難しいことです。
絶対におかしいと思ったら申告して不合格になるとは思えませんが、
“怪しい”程度であれば自身を持って突き進んだ方が無難と私は思います。
結論:なんとしても絶対に抜く!
これはおそらく、抜けなければ落ちます。
つきましては、なんとしても抜いてください。
落ち着いて、ゆっくりソムリエナイフのスクリューを刺し直して、慎重に引けば、絶対に抜けます。
自分を信じて、最後まで諦めずに頑張ることです。
最後に用意するもの
作業手順を箇条書きにしたメモ(ポケットに入るサイズ)を作っておくと本番直前まで復習できます。
これがあれば安心!
以上です。
素敵なソムリエ目指して最後までがんばってください。
応援しています。
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